【報告】令和5年度 自然史学会連合講演会ブース出展(2023/11/18開催)
11月18日(土)に名古屋大学博物館にて、令和5年度 自然史学会連合講演会が開催され、日本霊長類学会から日本モンキーセンターの新宅勇太と赤見理恵が体験教室を出展しました。
会場は博物館の一角にある実験室で、講演会開場の講義室から少し離れた場所(別フロア)でした。体験教室に来てくれる方がいるか少し心配しましたが、実験室がガラス張りで中が見えることもあり、多くの方にご参加いただきました。
「霊長類の系統樹をイメージした“プリマモビール”をつくろう!」のコーナーでは、ヒト、ニシゴリラ、ニホンザル、ジェフロイクモザル、ワオキツネザル、レッサースローロリスのモチーフを、おおまかな系統樹の位置関係に並べ、木の枝と紐を繋いでモビールを作りました。制作しながら、曲鼻猿と直鼻猿に分けられること、曲鼻猿も多様であること、ヒトはヒト科の一種であることなどを解説しました。ヒトのモチーフは、その場で参加者の写真を撮影、印刷して作ったため、とても喜ばれました。
系統樹を平面に描こうとすると、ヒトを最も上(もしくは最も下)に描くことが多く、ヒトが特別であるかのような誤解を与えてしまうことがあります。モビールは風でどのようにも動くため、ヒトも霊長類の多様性の一つであることを感じてもらえればうれしいです。
霊長類の標本コーナーでは、日本モンキーセンターの所蔵する霊長類頭骨レプリカと毛皮標本を展示し、実際に触れていただきながら解説しました。なるべくモビールづくりで取り上げた種の標本を選んで持参しました。頭骨標本はヒト、チンパンジー、ニシゴリラの3種で、ニシゴリラの巨大な矢状隆起の役割など、たくさんの質問がありました。毛皮標本はニホンザル、ワオキツネザル、レッサースローロリス、そしてジェフロイクモザルの尾の仮剥製を持参し、実際に触れて感触を確かめていただきました。ロリスやキツネザルの毛のやわらかさ、身近なニホンザルの毛質、ワオキツネザルの尾の縞模様、そしてクモザルの尾紋などを解説しました。
半日の体験教室で、モビールづくりは10個約20名、標本コーナーは30~40名、少し立ち寄ってくださった方は数えきれないほどいました。博物館にいつも通っているというご家族連れや、名古屋大学の学生さん、ツアーで博物館に来られた団体の方など、参加者層も多様でした。
強いて今回の反省点を挙げれば、日本霊長類学会の体験教室であることを十分アピールできなかったことがあります。日本霊長類学会の紹介パネル等があれば、より広く学会活動を紹介できたのではないかと思います。
最後に、このような貴重な場を与えてくださった自然史学会連合のみなさま、日本霊長類学会の理事会、特に渉外理事のみなさまに感謝申し上げます。