日本霊長類学会

第36回日本霊長類学会大会 公開市民講座(2020/12/6 開催)


第36回日本霊長類学会大会 公開市民講座

野生からわかること、飼育からわかること
~希少種の保全に果たす霊長類学の役割~

日時:2020年12月6日(日)13:30~16:30
場所:オンラインで配信します
参加費:無料
申込み:要 【下記よりお申し込みください】
https://peatix.com/event/1703887
※申込みの締切は2020年12月4日 17:00です。お早めにお申込みください。

※詳細は下記の第36回日本霊長類学会大会「公開市民講座」のホームページをご確認ください。
第36回日本霊長類学会大会「公開市民講座」

主催︓日本霊長類学会
共催︓中部大学創発学術院
後援︓愛知県教育委員会
*科研費研究成果公開発表(B)20HP0018の助成を受けたものです

講座趣旨
本講座では、野外生態研究、内分泌系、腸内細菌、動物園の保全教育という観点から、霊長類学が種の保全に果たす役割を、最新の研究成果とともに、高校生から社会人を念頭に、わかりやすく紹介します。特に、熱帯林にのみ生息し、絶滅の危機に瀕している我々ヒトに近い大型類人猿を中心に講演します。
司会/趣旨説明牛田一成(中部大学創発学術院/教授)

ボノボを知る、まもる
徳山奈帆子(京大・霊長研・国際共同先端研究センター)
メス中心社会や平和な集団間関係など多くのことを教えてくれるボノボですが、現在絶滅の危機にあります。私の調査地のルオー学術保護区では、保護区内の住民はある程度の森林利用が許され、ボノボと同じ森を使用しています。住民は森やボノボを大切にし共存してきた一方、森林利用を巡って対立も生じます。住民がボノボを守りたいと思えるように、ボノボの存在が住民の利益となるような活動を行う大切さについてお話しします。

動物園での研究からみえたオランウータンの繁殖特性
木下こづえ(京大・野生動物)
霊長類の繁殖は動物種によって多様です。オランウータンは比較的よく知られている霊長類ですが、繁殖については多くの謎に包まれています。ここ数年、国内の動物園で複数のオランウータンが出産し、うれしいニュースがたくさん報告されました。しかし、世界の状況をみても、飼育下では高齢化が進んでおり、繁殖研究の発展が求められています。動物園での研究を通してみえた、オランウータンの繁殖特性についてお話したいと思います。

腸内細菌が野生復帰の切り札?
 ~ゴリラにはゴリラの乳酸菌~
土田さやか(中部大・創発)
近年、動物は腸内細菌の存在なしでは考えられない、腸内細菌込みの「超生命体」という考え方が生まれてきました。動物は動物種ごとに自らを特徴づける腸内細菌を持っていますが、飼育個体と野生個体では、腸内細菌の構成が大きく異なることが明らかになってきました。希少動物の野生復帰に、「野生型腸内細菌」がいかに重要か、ゴリラを特徴づける乳酸菌「ラクトバシラス・ゴリラエ」を中心にお話します。

動物園だからこそできる保全教育
赤見理恵(日本モンキーセンター)
動物園は域外保全や研究の場として希少種の保全に役立っています。しかし、このような保全活動は、非公開施設でも可能だと言えます。動物園だからできること、それは来園者など多様な人々とともに進める保全教育です。生きた個性ある野生動物が目の前にいることの力はとても大きなものですが、一歩間違えば擬人的に捉えすぎたり、ペットのような印象を与えてしまいかねません。講演では動物園の教育活動の一端を紹介しながら、動物園にできることを考えたいと思います。

各演題へのコメンテーター:
中村美知夫(京大・理)、藤田志歩(鹿大・共通教育センター)、半谷吾郎(京大・霊長研)、田中正之(京都市動物園)

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