第32回日本霊長類学会大会

2016年7月15日〜17日 鹿児島大学郡元キャンパス

公開シンポジウム

「自然と共生する地域社会を目指して」

 

公開シンポジウムポスター生物多様性の保全は地域住民の協力がなければ実現できない。つまり,地域の人々によって培われてきた自然に対する伝統知を評価し,人間と自然がつながりながら,生活の営みを通して地域社会が活性化し,発展することで,生態系の保全と持続的利用が可能となる。

鹿児島県は,世界でも有数の原生的な照葉樹林をもつ屋久島や,多くの固有種が生息する奄美群島など,貴重で豊かな自然が残されている。屋久島は日本で最初の世界自然遺産に登録され,奄美も数年後には登録される予定である。さらに屋久島では,世界自然遺産に登録される以前から地元の有志による自然保護活動が活発に行われており,住民,行政,研究者が一体となって地元の自然環境を守り,また,これが地域社会の発展に寄与するという方式が国内で先駆けて開始された地域でもある。

一方,日本霊長類学会は,設立当初より霊長類を中心とする自然環境の保護・保全やそのための教育と普及を目的に掲げ,地域の人々と協働してきた。ヤクシマザルが生息する屋久島では,1980年代から屋久島の自然環境保全や環境教育活動に研究者が加わり,地域住民や行政とともにこれをすすめてきた。

本シンポジウムでは、自然と共生しながら地域社会が発展するために,地域の住民,行政,研究者はそれぞれ何ができるか,何をすべきか,ということについて共に考え,生態系保全の観点から地域社会のこれからについて見つめ直す。

後援:鹿児島県、鹿児島市、鹿児島大学
ポスターのダウンロードはこちらから 

 

講演プログラム

13:15~13:20 趣旨説明

13:20~13:45 「サルと歩いた屋久島―研究と保全の半世紀」

山極寿一(京都大学総長)

13:45~14:10 「どんな自然生態系をどうやって守るのか考えよう!」

揚妻直樹 (北海道大学北方生物圏フィールド科学センター和歌山研究林長)

14:20~14:45 「奄美大島における海洋生物の保全と活用」

輿克樹(奄美海洋生物研究会/奄美クジラ・イルカ協会会長)

14:45~15:10 「薩南諸島の生物多様性に関する教育と研究及び社会連携」

河合渓(鹿児島大学国際島嶼教育研究センター長)

15:10~15:35 「生物多様性鹿児島県戦略~鹿児島の自然環境保全の現状と課題」

長田啓(鹿児島県自然保護課課長)

15:45~16:15 パネルディスカッション

コーディネーター:湯本貴和 (京都大学霊長類研究所所長)

 

司会 藤田志歩(鹿児島大学准教授)