日本霊長類学会

一般社団法人日本霊長類学会 倫理綱領


一般社団法人日本霊長類学会

霊長類学は、霊長類の生物学的特質を理解し、人類の進化的由来を探求することを目指して誕生し、現在では、霊長類を対象とした学際的な研究分野となっている。日本霊長類学会は、霊長類学の発展をはかるとともに、野生霊長類の保全、飼育霊長類の福祉、動物実験を含む研究倫理の向上に努めることを目的としている。われわれ日本霊長類学会会員は、以下に挙げる社会的責任を自覚し、霊長類学の知識の社会への還元に努めるとともに、霊長類学が社会的な信頼の上に成り立っていることを強く意識し、この綱領を遵守する。

第1条 人権の尊重
われわれは、お互いの基本的人権を尊重し、年齢、性別、性的指向、国籍、出自、信仰、思想信条、障害の有無、身体の特性などによる差別的な扱いを許容しない。職場、野外調査地など、あらゆる場所でハラスメントを行わない。

第2条 法令の遵守
われわれは、鳥獣の保護・管理、動物の愛護、自然公園の管理、生物多様性の保全、外来種の管理、感染症の予防などを含む、霊長類の研究に必要な、調査実施国での関連法規および国際条約を熟知し、これを遵守する。これらの法規の下、研究対象である霊長類のみならず、研究に関わる全ての人や社会に対して倫理的配慮と社会規範に従って行動する。

第3条 研究倫理
われわれは、つねに客観性と公平性を目指し、研究の立案・計画・申請・実施・報告などすべての過程において、本会の目的に即し、誠実に行動する。データを適切に保管・管理し、いかなる理由があっても、ねつ造、改ざん、盗用、二重投稿、不適切なオーサーシップなどの不正行為を行わず、加担せず、また見逃さない。

第4条 研究資金の公正な取り扱い
われわれは、霊長類に関する研究の実施、ならびにそのための設備や環境整備に供される資金の使用にあたっては、広く社会的な期待が存在することを常に自覚し、資金を提供する団体や所属機関等の規定を遵守して、適正に取り扱う。

第5条 動物福祉
われわれは、試験研究、展示等の目的で飼育されている霊長類に対し、動物福祉の観点から、常に飼育環境の改善を図る。霊長類を用いる動物実験の実施に当たっては、所属機関や学会が定めるガイドラインを遵守する。

第6条 野外研究
われわれは、霊長類の野外研究において対象個体の生命と福祉に配慮するとともに、その生息地の生態系保全に努める。調査地周辺住民の暮らしと文化を尊重し、野生霊長類と人との共生の実現に貢献する。野外研究の実施に当たっては、所属機関や学会が定めるガイドラインを遵守する。

附則
本綱領は、2022年7月18日より施行する。
2. 本綱領は、代議員会の決議によって変更、もしくは廃止することができる。

ページのトップへ戻る