放射線被ばくが野生ニホンザルに与える影響調査についての日本霊長類学会声明

わたしたち日本霊長類学会は、東日本大震災から6年を経過した今年、第33回日本霊長類学会大会を被災地である福島市で開催しました。時を経ても震災の痛みは続いています。福島第一原子力発電所の被災で発生した放射線被ばくも震災の爪痕のひとつです。放射線被ばくの野生ニホンザルへの影響は、日本霊長類学会会員をはじめ、関連学会会員によって調査されてきました。ニホンザルは、国際放射線防護委員会(ICRP)の定めた「標準動植物」に含まれているネズミなどの動物より長寿、かつヒトと近縁な動物で、数十年規模での人体への被ばくの影響を知るモデルとして重要な生物です。ヒト以外の野生霊長類のいない海外の放射線被ばく事故被災地では、こうした研究は行われていません。「標準動植物」と同様に、ニホンザルの被ばく影響についての長期モニタリングが必要です。わたしたちは、関連学会と連携しながら、ニホンザルの被ばく影響に関する調査活動への支援を関係行政機関に働きかけていくこと、被災地の動物の研究・保全、ならびにその知見を普及する活動を日本霊長類学会としてさらに支援する決意を表明し、声明とします。

2017年7月16日 日本霊長類学会 会長 中道正之