自由集会1
「飼育霊長類の動物福祉と生命倫理」

7月7日(金)10:00〜12:30 A会場 (224号室)
責任者:上野吉一・松林清明・鈴木樹理
連絡先:〒484-8506犬山市官林41-2 京都大学霊長類研究所・人類進化モデル研究センター
電話:0568-63-0561 Fax:0568-62-9559
e-mail:okuma@pri.kyoto-u.ac.jp
<内容の要旨>
 昨年、宮崎大会でのシンポジウム「大型類人猿の保護と利用-チンパンジーの実験利用を中心に-」において、少なくとも二つのことが確認された。1)大型類人猿を安易に実験に利用すべきではない。2)実験利用が全面的に否定されるわけではない。しかし、「なぜ大型類人猿を特別に扱うのか?」、「否定される実験(侵襲的実験)とは何か?」ということに関してはコンセンサスを得るまでに至らなかった。こうした理由の一つとして、大型類人猿とその他の霊長類、侵襲と非侵襲、といった2項対立的な捉え方を前提とした議論だったことが考えられる。そこで本集会では、対象を特定することなく、飼育・研究の現場と理論的考察の両方の立場から、「動物福祉を実践することは何に配慮することなのか」、さらには「ヒトが他の生命を尊ぶとはどのようなことなのか」をあらためて検討することで、飼育霊長類の実験利用はどのような方向に進むべきかについて議論を試みたい。
<演者>
上野 吉一 「開催主旨」
吉川 泰弘 「(仮題)動物実験と動物福祉」
友永 雅己 「(仮題)大型類人猿と動物福祉」
長谷 川寿一「(仮題)倫理の生物学的起源」
米本 昌平 「(仮題)動物福祉と生命倫理」


自由集会2
「野外でもこんなことがわかる!」

7月7日(金)10:00〜12:30 B会場 (234号室)
責任者:栗田博之
連絡先:〒484-8506犬山市官林41-2 京都大学霊長類研究所
電話:0568-63-0545(内線214) Fax:0568-63-0085
e-mail:hkurita@muh.biglobe.ne.jp
<内容の要旨>
 野外で自由生活をしている動物についての情報収集には多くの制限がつきまとう。しかし多方面でそれを打ち破ろうとする努力がなされており、様々な情報を得られるようになってきた。そこで近年における方法の発展と成果について議論し、更なる発展へのステップとなることを願い本集会を企画した。室内・野外を問わず、いろいろなノウハウを持つ方やこれから研究を始めようとする方等多数の参加を願っている。
1. 森光由樹・和秀雄: 胎子サイズ計測・妊娠診断・蓄積脂肪量推定
2. 栗田博之・西川陽行・下村忠俊・藤田忠盛: アカンボウと成熟雌の縦断的体重測定
3. 藤田志歩・光永総子・清水慶子: 糞中ホルモンによる排卵と受胎の推定
4. 橋本千絵・早川祥子・竹中修: DNAから何が見えるか:野生集団の生態、社会関係、社会構造の分析
5. 今川真治: アルゴスシステムを用いたニホンザル追跡の可能性
6. 金森正臣: 小ほ乳類の野外調査から得られる情報
7. 総合討論


自由集会3
「これからの機能形態学-機器の利用と新しい分析」

責任者:濱田 穣・中務真人
7月7日(金)13:30〜16:00 A会場 (224号室)
連絡先: 〒484-8506犬山市官林41-2 京都大学霊長類研究所・形態進化分野
電話:0568-63-0521 Fax: 0568-61-5775
e-mail: hamada@pri.kyoto-u.ac.jp
<内容要旨>
 霊長類の機能形態学的研究、特にロコモーションに注目した研究では実験と野外観察は重要手段であり、多くの成果が得られている。しかし、幾つかの問題点がある。動作解析実験では主に水平もしくは垂直のみの支持基体上の運動を床反力計や筋電図を利用して分析してきた。野外観察では異種間でも同一の運動カテゴリー(垂直登攀・跳躍等)を作り、それらの使用頻度比較を行ってきた。だが自然状態での支持基体は水平・垂直に限らず多様であるし、異種間で同一カテゴリーの運動をどの程度等価のものとして扱ってよいか不明である。近年、三次元動作解析装置や内視鏡、X線カメラ等の利用、実験用支持基体の多様化、によって動作解析実験は更に精緻になってきた。また、ビデオカメラの低価格化、軽量化、解像能やバッテリー機能の飛躍的向上により、野外における動作解析も容易になった。これらの機器を利用した研究を発表し、今後の機能形態学について討論を行う。


自由集会4
「熱帯林の霊長類学-地域間比較研究の展望」

7月7日(金)13:30〜16:00 B会場 (234号室)
責任者:鈴木 滋・橋本千絵・竹ノ下祐二
連絡先:〒京都府京都市左京区北白川追分町 京都大学理学部・人類進化論研究室
電話:075-753-4085 Fax:075-753-4098
e-mail:suzuki@jinrui.zool.kyoto-u.ac.jp
<内容要旨>
 熱帯林の地域間比較研究の好機である。熱帯林では森が深く、霊長類の観察条件はいいとはいえない。しかし、社会や行動がよく見られない分、熱帯林のダイナミックな環境の把握と霊長類の採食・行動・特性社会構造との関連についての研究には、ここ10年ほどの間、それまでよりも力が注がれてきた。そこで、各調査地の基礎データをもちよってみると、熱帯林の多彩さと、そこのすむ霊長類の多様性と共通性が浮き彫りになってきている。たとえば、主要な果実の結実のピークや欠乏の季節は、調査地間で驚くほど違っている。また、それまで類人猿に対象が限定されていた研究も、他のサルやゾウなどの大型動物や植物との相互関係などを対象に、熱帯林生態系の研究へと育ちつつある。この集会では、試みとして、アフリカ霊長類のいくつかの調査地間での地域比較研究の視点と分析例を紹介する。そして、今後検討すべき問題群と比較のための方法論についても討論し、対象地域や種などを広げたさらなる比較研究の誘い水としたい。


自由集会5
「サル類の疾病に関するワークショップ」

責任者:吉川泰弘・柳井徳磨
7月7日(金)16:30〜19:00 A会場
連絡先:〒501-1193 岐阜市柳戸1-1 岐阜大学農学部・獣医病理学教室(柳井徳磨)
電話:058-293-2944 Fax:058-293-2944
e-mail:yanai@cc.gifu-u.ac.jp 
http://www.gifu-u.ac.jp/~yanai/YANAI.htmlL
<内容の要旨>
 環境汚染,内分泌撹乱物質の影響評価あるいは遺伝子組換え医薬品,遺伝子治療評価などに,ヒトに近縁なサル類を実験に用いる機会が増加している。しかし,サル類の病的状態に関する基礎情報は非常に少なく,また,研究者間の情報交換の場がないため,それぞれの経験をデータベースとして蓄積する方法がなかった。そのため,動物検疫の基礎となる感染症に関する情報や,医薬品開発のための薬効,安全性試験の基盤となる,自然例での感染症,腫瘍,加齢性疾患に関する情報を互いに持ち寄り,日本における感染症を含めたサル類の病態,病理の情報交換の場を確保する目的で本研究会を企画した。また,ワークショップを通じて公表した症例や疾病の情報を基に,"サル類の疾病に関するアトラス"を刊行する予定である。
・サル類由来の人獣共通感染症 (吉川泰弘)
・免疫抑制状態での日和見感染症 (柳井徳磨)
・サル類の加齢性病変−老人斑について (中村紳一朗)


自由集会6
「移入マカク類の生息の現状と対応策」

7月7日(金)16:30〜19:00 B会場
責任者:和 秀雄・丸橋珠樹・大沢秀行
連絡先:〒484-8506 犬山市官林41 京都大学霊長類研究所
  電話:0568-63-0543 Fax:0568-63-0564 
e-mail:ohsawa@pri.kyoto-u.ac.jp
<内容の要旨>
 ニホンザルとの交雑が可能なアジア諸国のマカク類の野生化が各地で報告されている。とくに和歌山市周辺に生息するタイワンザルは最近急速に個体数を増し170頭以上に達する状況である。また周辺のニホンザルとの間で多数雑種化していることも明らかになった。本自由集会は、霊長類学会保護委員会が中心になり移入マカク類問題への取り組み活動の中間報告をすること、およびその問題点の議論を広げるべく開催したものである。報告は、和歌山におけるタイワンザル移入の経緯とその後の生息状況、雑種化の遺伝的学分析、移入集団、雑種に対する基本的立場と対応策の検討、房総等他地域の移入マカクの現状報告などを予定している。これらについて5人から報告をうけその後討論を進めてゆきたい。

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